アラフィフ新境地#1「寒立馬に会いたくて」青森県 尻屋崎灯台
50代を丁寧に過ごそうと決意した編集者が、日々を見直したり!非日常の旅をしたり!新しいことにチャレンジしたり!そんな新境地で得た、ニッチでトリビアな雑学をブログに綴ります。
馬に興味ありますか?
唐突にそう言われると、今だと「ウマ娘」?それとも競馬?
馬は芸術品や絵画で表現される事が多いせいか、アート好きな私はその美しい姿に魅了されています。このWEBマガジン「ガルニア 」でも、印象的な馬の絵を描いた北海道の神田日勝に触れたことも。
そんなこともあり、寒立馬が自由に生息しているという下北半島北東端の尻屋崎へ旅に出ました(東北の冬の運転に自信がないので秋のうちにー)。
秋晴れの某日、青森空港に降り立つと、すぐさまレンタカーで尻屋崎を目指します。青森空港は旅客ターミナルとレンタカーターミナルが隣接していてすごく便利。これって、ポイント高いと思うんですよ(目的地に早く到着したい!)。それに、青森旅行はレンタカーがおすすめ。特に下北半島へ向かう鉄道はむつ市大湊駅が終点となるのです。
目的の尻屋崎までは距離にして140kmほど、車で2時間半です。まずは青森市内の蕎麦屋「青森鞍馬」(すでに店名からして馬モード)に立ち寄って腹ごしらえ。手打ちの十割蕎麦のコシはほどよく、つゆはしっかり目の味付けです。天ぷらの揚げ具合が抜群でした!ごちそうさまー
道中は高速道路と有料道路はあっても、その距離は40kmほどです。なので、100km近くはひたすら一般道を走ります。青森市内を抜けると、信号や交差点は少なくひたすら一本道です。一つだけ残念なのが、陸奥湾や津軽海峡に沿った道ですが、防風林のため景色はあまり見れません。これは仕方ないので、ちょっと我慢です。
まるで異国の白亜の灯台、その逸話とは
尻屋崎灯台の5km手前くらいから、海が見えてきます。車の窓をあけると、新鮮な空気がひゅーひゅーと入ってきます。うーん、空気が違う〜というか、ちょっとキリッと冷たい。
尻屋崎灯台の手前250mくらいのところに駐車場があります。灯台前の売店横にも数台の駐車場があるのですが、景色を満喫するために海沿いを歩くことにしました。こんな時は、心にゆとりがあるせいか?日頃じゃ見落としている花も見つけられる気分のよさ!
しかし、ここが津軽海峡かぁーってくらい、風が強いです。セットした髪なんか崩れて悲惨なことになりそう。でも、アラフィフは気にすることなく風に吹かれながら灯台へ向かいます。
そして、見えてきました!尻屋崎灯台!その風貌とデザイン、さらに高さに圧倒されます。
それもそのはず、高さ30mを誇る、日本一のレンガの灯台です。この灯台は「日本の灯台の父」と称されるブラントンによって設計された、二重のレンガ壁による複層構造の灯台となっているそうで、その姿はちょっと異国っぽいです。
本来、この灯台は登れるのですが、この日はNGでした(残念)。灯台の位置からの眺めは素晴らしく、とにかく海が青い、青いというか青黒い。灯台の上からは、もっと見渡せる絶景なのでしょうね。その海の青さと白亜の灯台がまるで絵画のようで、下手な私でもいい感じに撮れます。
尻屋崎灯台は日本の灯台50選に選ばれています。ちなみにこの日本の灯台50選ってのは、印象に残った灯台を投票形式にして選出されたそう。
参考:https://www.tokokai.org/lighthouse/list50/
そして、この灯台には※まぼろしの灯台という逸話があります。
第二次世界大戦末期の1945年(昭和20年)に米軍機の機銃掃射を受けて、当時勤務していた村尾常人標識技手が殉職した。翌1946年(昭和21年)、攻撃を受け破壊しつくされたはずの灯台が光を放ち、その目撃が相次いだ。謎の光のおかげで付近を航行中の漁船が遭難を免れたということもあった。人々は米軍の攻撃時に殉職した村尾標識技手の霊なのではないかと噂した。当時の灯台長が公文書「灯台の怪火について」を灯台局に報告した。同年8月に霧信号舎屋上に仮の灯りを点灯すると同時にこの現象は消えた。なお、灯台には銃撃の跡が今でも残る。
ちょっと神秘的ですよね。
※「尻屋崎灯台」ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 最終更新 2022年9月6日 (火) 07:32
会えたら幸運の寒立馬
ところで、この辺りにいるという、肝心の寒立馬はというと…
一周見渡してもいません。
せっかく来たので、簡単に諦めることもできず、一目だけでもと一帯を探索すること1時間…しかし、いません。
ツイッターで検索すると、「灯台の前の芝生にいたよ、海岸沿いを歩いてるよ、森の中にいたよ」との目撃情報。それら全部を探し回っても対面できず、半ばあきらめていたところで再検索すると、最新の寒立馬の位置情報が出てました(こんな時、SNSって便利)。なんと、その時間は放牧されておらず、尻屋崎のゲート近くにいるとのこと。急ぎ、来た道を戻りました。
要は、サファリパーク内でライオンに会えなかったら、入口ゲートのオリにいたみたいな感じです。
はい!やっと寒立馬に会えました!
おおー寒気と粗食に耐え持久力に富む農用馬というだけあって、その姿は逞しいに尽きます。で、おとなしく優しい目をしてる。
しばらく、眺めてましたが、あまり動きません。体力温存でやはり無駄な動きはしないのだろうか?もしや寝てますか?って感じです。
ちなみに、越冬する姿はこんな感じだそうです。12月から3月の厳寒期は、防風林で囲まれた越冬放牧地の「アタカ」というところへ移動し、春が訪れるのを待つそうです。なんとも、厳しくも逞しい姿です。
一時は寒立馬の数が9頭までに減ったものの、現在は20頭まで回復したそう。その数では、この広大な自然の中で出会えなかったはずです。もし、尻屋崎灯台と寒立馬が同時に見れたらとても運がいいのかもしれません。
現在、寒立馬とその生育エリアは天然記念物に指定されています。マナーには気をつけましょうね。寒立馬がこれからの寒い冬に耐え忍ぶ姿を想像すると、なんだが自分もこの先にある試練にちょっと耐えられそうな気分になった旅でした。
青森県観光情報サイト:https://aomori-tourism.com/